光共振器結合系における正弦変調による共振器間結合の動的制御

摘要

フォトニック結晶ナノ共振器は光を微小領域に長時間閉じ込めることが可能であり，これらを複数個結合させた系において光を共振器間でやりとりすることで，光/量子情報処理をはじめとする高度な光制御への応用が期待される．これまで我々は制御光パルス照射によって結合系の固有状態を制御することで，高Q値共振器に保持していた光パルスを空間的に十分離れた別の共振器へ転送する手法等を提案・実証してきた[1]．さらにこのような系の固有状態の動的制御を発展させるべく，電気的な制御機構による屈折率の正弦波変調を利用する手法の検討も進めてきた．その一例として図1aに示すように3つの光保持用共振器(Storage A, B, C)間の結合をこれらと結合する制御用共振器(Ctrl. 1, 2, 3)に対する正弦変調によって制御するモデルを考え，結合強度だけでなく結合位相も動的に制御することで，共振器結合系中の光の伝搬方向を切り替えられることを報告した[2]．本講演ではこれまでに得られた同結合系に関する知見を述べるとともに，共振器の個数を一般化した場合の検討結果についても述べる．