パンチングメタルを通過する気流による騒音増大現象

摘要

パンチングメタルはサイレンサ一などの内部構造で利用される部品の一つで，消音構造を実現するために利用されている.例えば，管路の急拡大部で生じる低周波数の脈動を抑えるために利用されたり，ヘルムホルツ共鳴による騒音抑制を狙ったりする目的で利用されている.その中でも工場などで利用されるガスタービンやディ一ゼルエンジンの排気用ダクト内では，30~50m/sの排気ガスを流入させており，剥離流れによる大きな脈動が生じるなどの問題がある.そこで流れの急拡大部などに噴流を拡散させる構造を配置するなど，渦構造を小さくすることによって騒音を抑制する仕組みが考案されている.その際に，パンチングメタルが利用される場合があるが，パンチングメタルを通過する際に発生する空力騒音に関する研究例は，建築物に用いられていることを例にして流れに対して角度がある場合にっレヽては実施されてレヽるが,その穴の断面変化にっレヽては触れられてレヽない.パンチングメタルは打ち抜き加工されたものがほとんどであり，流路断面が変化している場合があり，これによる流動抵抗の変化については取り上げられている場合もあるが，発生する騒音に関する研究例は見られない.これまで，筆者らは気流の流れ方向を変化させ，その空力騒音の特性が変化することを明らかにした.パンチングメタルの穴直径が広がる向きに流れる場合をExpansion,直径が小さくなる向きに流れる場合を Shrinkageと呼び区別すると，流速の条件によってExpansionの場合に発生する空力騒音が大きいことが明らかになった.特に，35m/s以上の流速では卓越周波数成分を有する騒音が発生し，オーバーオール騒音レベルも大きく上昇することが明らかとなつた.また，卓越周波数は流速にほぼ比例していることが報告された.