カーボンナノチューブ複合紙による'熱電発電紙'の性能向上の検討

摘要

熱を電気に変える熱電発電は、現在は捨てられることの多い熱を有効利用できることから、注目を集めている。本研究ではカーボンナノチューブ(以下：CNT)が巨大なゼーベック効果を持ち[1]、熱電材料として優れた特性を持つことに着目する。CNT はナノスケールであり、単体での取り扱いが困難であるため、本研究ではCNT と取り扱いの容易である紙を複合し、CNT 複合紙[2]として熱電発電素子の開発を行う。通常大気中でCNTはp型の特性を示すが、ドーピングによって n 型の複合紙も作製可能である。そこで、p型複合紙とn型複合紙を接合し、熱電発電を行う。以前の報告[3]では、CNT及びパルプの適する比率やCNT複合紙のn型ドーピングに使うドーパントの濃度につて検討し、熱電性能の向上を試みたが、CNT 複合紙の抵抗値が高く、大きな電力を取り出すことが出来なかった。そこで、今回は、CNT 複合紙の抵抗値を下げ、起電力を向上させることで取り出す電力を増加させることを目的とする。今回は、複合紙の構造の変更と、複合紙を n型ドーピングし、複数接合した際の結果について報告する。