ウイルス吸着性細菌との結合が水系感染症ウイルスの感染能力に与える影響

摘要

水系感染症ウイルスを特異的に捕捉するウイルス吸着性細 菌の存在が報告されている。例えばウイルス吸着性細菌の一種であるEntevobacter cloacae SENG-6は、細胞外に分泌した 血液型抗原（histo-blood group antigen: HBGA)様物質を介してノロウイルス粒子を吸着する。水環境中において、ウイ ルス粒子はウイルス吸着性細菌に捕捉され、消毒剤や太陽光 などの不活化ストレスから守られていると考えられる。通常、 水中ウイルスの感染リスクはウイルスがフリーで存在してい ることを想定して議論されており、ウイルス吸着性細菌に捕 捉されたウイルスの感染能力に関する知見は皆無であるのが 現状である。