「難治性喘息 診断と治療の手引き2023」～適切な難治性喘息の診断と治療～

摘要

吸入ステロイド薬(ICS)や,ICSと長時間作用性beta_2 刺激薬(LABA)との配合剤(ICS/LABA)の普及に より,喘息患者のコントロールは格段に向上し,喘息 死も激減した.しかしながら,喘息患者の約5は高用 量ICS/LABA（必要に応じて他剤も併用)を要したり, そのような治療下でもコントロールが安定したりしな い難治性/重症喘息である.難治性/重症喘息は日常の診療に費やすコストが高 くなり,頻回の増悪によって日常生活に支障を来し, OCSを要する患者ではその副作用に苛まされる.ま た，喘息死のリスクも高い.難治性/重症喘息患者診療の際は，まずは診断の正確 さや服薬アドヒアランス?吸入手技，併存症の診断と 管理などをあらためて確認する必要がある.治療の面 では，近年の喘息病態メカニズム解明の進展により， 種々の生物学的製剤が難治性/重症喘息に使用できる ようになり，かなりの有効性を発揮しているが，投与症例全例に効果を認めているわけではないので,今後 の課題と言えよう.