レンコンネモグリセンチユウHirschmanniella diversaの人した レンコン細根の光顕及び走査電顕観察

摘要

レンコンの平成25年度における国内の栽培面積は 3,960 ha、出荷量は53,0001に上り（農林水産省大臣官房 統計部，2014)、国内の根菜類を代表する重要品目の一つ となっている。レンコン栽培では、古くから土壌病害虫の発生が問題で あった。レンコン腐敗病は、葉の枯死や根茎の褐変が生 じるレンコンの重要病害の一つであり、Fusafium属蒈ゃ Pythium属菌が病原菌とされている（南"Iら，1959)。近年、 三平、永井（1996)は、レンコン肥大根茎の表皮に生じる 多数の黒褐色斑点が、線虫の加害によることを初めて報告した。この線虫害は、「黒皮症」と称され、レンコンの商 品価値を低下させる要因となっている。三平（2002)は、 黒皮症を引き起こす線虫がイマムラネモグリセンチユウ Hirschmanniella immamuriであるしとを接Ife"験によつ て明らかにしている。し力、し、後に徳島県や千葉県で被害 根茎から分離された線虫については、国内未確認の Hirschmanniella diversaと同定され、その和名はレンコン ネモグリセンチユウと命名された（水久保，2002)。その後、 黒皮症の症状は日本各地のレンコン産地で報告されるよう になり（水久保，2015)、現在ではイマムラネモグリセンチ ユウとレンコンネモグリセンチユウの2種力《黒皮症を引き起 こしていると考えられている（Koyamae?a/.,2013)。このような背景の下、生産現場では本種の迅速な検出 法の確立と防除技術の開発が求められている。レンコンネ モグリセンチユウの検出法として、近年、Koyamae/ al. (2013)力《種特異的なプライマーを開発し、経済的被害 許容水準となる個体群密度の推定を試みた。また、雑草カゝらレンコンへの伝搬を防止するために、レンコンネモグリ センチユウの寄主となる雑草種が明らかにされた（高木ら， 2011)植松ら，2015a)。さらに、防除対策の試みとして、 温湯処理法（高木ら，2012)や太陽熱土壌消毒（久恒ら， 2014)など力検討された。