HIDランププラズマの分光学的診断と計算機シミュレーション(III)－メタルハライドランプのプラズマ診断：I.レーザ誘起蛍光法

摘要

現在，地球温暖化，資源の枯渇，生態系の崩壊などが急速に進行しており，これらに対して省エネルギーを含む様々な対応が求められている．照明分野では，メタルハライドランプ（MHランプ）が高効率に加え高演色であることから省エネルギー光源として注目されている．このランプは水銀アーク放電中に金属ハロゲン化物を添加したHIDランプで，添加物によりIn-Tl-Na系，Sc-Na系，希土類(Dy, Ho etc.)系などに分類できる．なかでもSc-Na系は効率が高いことからMHランプの主流であり，更なる省エネルギー化を目指した研究がおこなわれている．その一つに放電シミュレーションを用いた方法がある．しかし，これまではプラズマ中での添加物の挙動が明らかでなく，完全なモデルはなかった．そこで我々はSc-Na系MHランププラズマ中の添加物の挙動を分光学的診断により解明し，実ランプの現象とよく一致するシミュレーションモデルを開発した．本報ではレーザ誘起蛍光法によるSc-Na系MHランププラズマ内の添加物密度の計測について述べる．