A型胃炎を背景に早期胃癌とカルチノィドが併存した病変をESDで切除し得た1例

摘要

69歳，男性.市民検診にて胃の隆起性病変を指摘され，精査加療目的に当科を受診した.内視鏡検査で は胃体上部大彎後壁側に上皮性変化を伴う3cm大の亜有茎性腫瘍を認め，早期胃癌と考えESDを施行 した.病理組織にて胃癌とカルチノイドが同一病変内に併存している所見を認め，背景粘膜には非腫瘍 性内分泌小胞巣が認められた.さらに本例では，胃体部粘膜の萎縮，高ガス卜リン血症，抗胃壁細胞抗 体陽性を認めA型胃炎と診断した.A型胃炎を背景に胃癌と胃カルチノィドが同一病変内に併存した症 例は稀であり，内視鏡的に切除し得た1例を経験したので報告する.