魚類の生息環境の改善を目的とした河川修復事業の長期的効果

摘要

日本の河川では1960年代から1980年代にかけて，増加する人口と生活水準の向上に対応するため治水や利水を目的とした河川工事が進められた（森1998）．ダムの築造や河川改修に代表される河川の人工化は，魚類の河川内移動の阻害や生育·産卵場の減少をもたらすなど河川の生態系に様々な影響を及ぼした（中村1993）．1990年代に入ると，建設省から多自然型川づくりに向けた通達が出され（リバーフロント整備センター1992；玉井1993），生物の生息環境の改善が河川事業の重要な課題として認識されるようになった．