早期人工内耳装用小児例における聴性行動と音声発話行動の経時的検討

摘要

高度難聴小児に対して、早期からの人工内耳（CI)使用により、聴取成績や言語力につ いて良好な究達が見られることが報告されており、我が国でも1歳から3歳台の早期手術例 は年々増加傾向にある。我々は本学会（2010)において、4歳未満の早期CI手術例におけるCI装用後の聴性行動 (MAIS ： Meaningful Auditory Integration Scale, Robbins, AM., et al.1991)と発話行動 (MUSS ： Meaningful Use of Speech Scale, Robbins, AM., and Osberger, MJ.1990)について 経時的に評価し、1)聴性行動は音入れ後3ヶ月までに著しい改善を示し、不良な群では環境 音や音声への傾聴行動の形成が不十分であること、2)発話行動は音入れ後初期から個人差を 認め、音入れ後3ヶ月以降から著しい改善を示すこと、3)CI装用後の聴性行動、音声発話 行動における領域別評価の経時的観察の重要性について報告した。本研究では、1-3歳台の早期CI早期手術例を対象として、CI早期埋め込みによる聴性 行動と音声発話行動の発達について比較し、早期装用効果と年代の特徴について解析することを目的とした。