残留農薬等検査の現況と課題

摘要

私達の食卓を取り巻く環境が大きく変化している．我が国の食料自給率が1ポイント低下して39％を記録するなか，地球温暖化をはじめとする地球規模の気候変動による生産地の災害，バイオマス燃料を意識してのトウモロコシの作付けへのシフト，原油の市場空前の高騰による食材の値上がり等，食品の外国からの調達が厳しくなりつつある．一方で，輸入食品の安全性に目を光らせる検疫所においては，2006年からの1年半の間に，2，400件余りの違反事例が報告されたが，残留農薬の違反事例はそのうち，半分近くを占める．食料の調達の厳しさが増大する中，残留農薬等検査には，どのような役割が期待されるだろうか？