軟部組織肉腫

摘要

軟部組織肉腫（Soft-tissue sarcoma ： STS)とは，皮膚-皮 下（ほとんどが皮下）に発生する軟部組織由来の悪性腫瘍のう ち，臨床的な挙動が類似するいくつかの腫瘍のife琳である。そ の臨床的挙動とは，比較的ゆつくり成長し，局所浸潤性が強 く ，転移率は低t、（20%以下,血行性）こととされている"。犬の軟部組織肉腫は中-高齢,中-大型犬に発生が多く認 められ，全皮膚、皮下腫瘍の約4.5~15%を占める2'3>。一般的 に犬の軟部組織肉腫に含まれる腫瘍は，線維肉腫,粘液肉腫， 脂肪肉腫，末梢神経鞘腫,血管周皮腫(血管周壁細胞腫)，多形 性肉腫,悪性間葉腫，未分化肉腫などで.とくに発生の多いも のは,血管周皮腫,線維肉腫，末梢神経鞘腫である45)。犬の軟部 組織肉腫においては，予後因子として組織のグレード分類が 行われる。腫瘍組織の分化度,有糸分裂数,壊死領域の3つの 形態学的特徴をスコア化し，その合計によって3段階に分類 する2)。グレード1が低悪性度であり，グレード3が高悪性 度，グレード1の発生がもっとも多く，ついでグレード2で， グレード3は少ない67)。これは，国内.海外のどの報告を見て も共通のデータである。