上皮系悪性腫瘍(膀胱、生殖器以外)

摘要

犬猫の上皮系悪性腫瘍(以下，癌）には，扁平上皮,粘膜上皮，外分泌腺.内分泌腺に由来するさまざまな癌が 含まれる。その治療の柱は外科切除であり，化学療法は術後補助療法や切除不能例の緩和治療として行われる。犬ではアントラサイクリン系薬，白金製剤，分子標的薬，非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などは単剤で の効果が認められているが，その奏効率は総じて低い（20-26%)(表1)卜14)。このデータは疾患別では例数が 少なく ，奏効期間が影響する術後補助療法としての有効性はほとんど検証されていない。よつて膀胱癌などの 例外を除けば，犬猫の癌は疾患別のプロトコルは未確立（検討不十分）で.上記薬剤の併用が各疾患で試行され ている段階と考えるほうがよい。ここでは膀胱、生殖器以外の癌として，乳癌，扁平上皮癌，肺腺癌などを取り上げながら2つのプロトコルを紹 介する。実施にあたっては，根拠が弱いことをふまえインフォームド'コンセントに努めることが前提となる。