かたはらいたい

摘要

「かたはらいたい」という言葉がありますが,元々は「病人の傍らにいるのがつらい」という意味だったようです.脊髄損傷を受傷した患者さんの絶望感や喪失感はそばでみていて本当につらく,まさに「傍ら痛い」ものがあります.しかし,そんな患者さんもいっしか前向きな気持ちになってくれる日が訪れます.胸椎脱臼骨折で対麻痺となったAさんの落ち込みようはひどく，入院中はほとんど言葉をかわしてくれませんでした.しかし，奥様と一緒にいらっしやったフォローアップの外来では，リハビリテーション病院退院後の生活を詳細に話してくれました.奥様の献身的なサポートで懸命にリハビリを行い，今では車を自分で運転して外出できるほどになったとのこと.実は奥様はAさんが受傷する前，Aさんの浮気のため離婚を考えていたようです.ところが悩んだ末Aさんを支えると決心し「今は以前より幸せかもしれないです」とこっそり教えてくれました.これから妊活にも取り組みたいとおっしゃっていたAさん夫婦の様子は傍らにいてとてもうれしい気分になりました.