超電導製品の開発と将来展望

摘要

超電導現象を実用化すべく、工業的には超電導材料を線材にして、これを巻線して磁石を製作する方法の開発が行われてきた。 その用途としては、磁気浮上列車、核融合、MHD（磁気流体力学；magneto hydrodynamics）発電、物性測定が期待され、その後NMR（核磁気共鳴；Nuclear Magnetic Resonance）、MRI（磁気共鳴映像法；Magnetic Resonance Imaging）などが加わった。 今では磁気浮上列車に試乗されたり、病院でMRIマグネットの中に入られた方もいらっしゃるだろうし、ITER（国際熱核融合実験炉）の誘致運動の経緯をご存知の方も多いと思われる。 当社での超電導技術開発の歴史は40年を超えた。 当初の基盤的研究開発での技術集積を経て約15年前に主にNMR分野に注力することを決め、多数の開発成果を創出してきた。 それらをベースに日本唯一の超電導専業メーカであるジャパンスーパーコンダクタテクノロジー㈱(JASTEC)を2002年に設立した。 定常的市場に事業の柱を持つ超電導専業メーカとして国内他社の超電導関係者から注目されている。 またNMR用線材においては世界のトップクラスのメーカとなっている。 本稿では、当社における超電導技術開発の変遷を紹介し、近年の開発成果を概説すると共に、今後の技術開発が目指す方向を示す。 また、検査技術との関わりを記述する。