日本の家庭部門に対するエネルギー政策の視点からのゼロエネルギー住宅

摘要

民生部門の省エネに関連する大きな動向として2015年11 月の第21回気候変動枠組条約締約国会議（COP21）におけるパリ協定の採択が挙げられる．これを受け，日本も温室効果ガス排出量の大幅な削減が求められている．日本の約束草案では，エネルギー起源の二酸化炭素排出量を2030 年までに2013年度比で約25%削減することを目標としている．その内訳を見てみると，産業部門の約7%減や運輸部門の約28%減と比較して民生部門は業務その他部門が約40%減，家庭部門が約39%減となっており，非常に大きな削減目標が掲げられている．以上のように，日本の民生部門ではエネルギー消費量の抑制や温室効果ガスの排出抑制が喫緊の課題となっている．エネルギー源の中心となっている化石燃料を海外からの輸入に頼っている日本にとって，住宅·建築物におけるエネルギー消費量の抑制（省エネ）と太陽光発電等によるエネルギー創出量の増加（創エネ）はエネルギーセキュリティの向上という観点からも非常に重要である．