肝臓CT比較読影のための肝臓血管領域位置合わせ手法の開発

摘要

本稿では，肝臓CT比較読影のための画像位置合わせ手法について述べる．コンピュータ支援診断（CAD）において，比較読影の支援は重要な課題の一つである．異なる時期に撮られた画像間には一般に位置ずれが存在するため，比較読影を行う前に両者の位置合わせが必要になる．とくに，肝臓病変の経時変化などを比較読影する場合には，病変と肝臓血管との相対的な位置関係が重要な指標になるため，肝臓領域全体よりも，肝臓血管領域が正確に合うように位置合わせする方がよい．そこで，我々は，同一被験者の腹部CT像に対して，両者の肝臓血管領域どうしを位置合わせする手法を開発した．この手法は，（1）血管領域抽出，（2）分岐点抽出，（3）特徴点選択，（4）対応点探索，および（5）非剛体変形処理で構成される．本手法を腹部CT像の経時画像15組に適用したところ，すべての組で良好な位置合わせ結果が得られた．