高速フリッカ刺激の経時提示により生じる瞬き知覚は刺激間の輝度差に依存する

摘要

臨界融像周波数を超える垂直同期周波数で動作するCRTディスプレイ上に，定常的に画像を表示する刺激と，画像の表示，非表示（オン，オフ）を交互に繰り返す刺激を提示する．これら二つの刺激の主観的輝度を揃えて異なる位置に提示すると両者を区別することはできないが，同じ位置に連続提示すると，両者が切り替わる瞬間に一過性のちらつきが知覚される（瞬き知覚）．この要因として，時間周波数の違いや物理的輝度の違いが挙げられるが，詳細は明らかではない．本研究では，定常刺激，明滅刺激の時間周波数，輝度を操作し，瞬き知覚が生じる要因について検討した．その結果，時間周波数によらず，刺激間の輝度差が減少すると瞬き知覚が得られる割合が低下した．この結果は，臨界融像周波数以上の一過的な輝度変化を視覚系が検出できることを示唆する．