放射線グラフト重合法を用いたシァル酸を導入したポリマーブラシによるインフルエンザウイルスの捕捉

摘要

我々はシアル酸を導入したポリマーブラシをもつインフルエンザウイルスの捕捉材料の調製を試みた。本稿ではその取り組みについて述べる。インフルエンザウイルスは、人や家畜の健康を害し、多くの被害をもたらす。インフルエンザウイルスの感染は、ウイルス表面にあるへマグルチニン（HA）とシァル酸（NeuNAc）の認識によって生じる。固体表面から高分子鎖を成長させた“ポリマーブラシ”は、数十～数百nmの長さの柔軟な立体構造を持つため、100nm程度の大きさのウイルスを捕捉する場として非常に適していると考えられる。そこで、シアル酸を導入したポリマーブラシを持つインフルエンザウイルスの捕捉材料の調製を試みた。