量産型GaN-MOCVD装置：ハイエンド向け大口径＆量産対応MOCVD装置の開発

摘要

1993年に窒化ガリウム(GaN)を用いた高輝度青色LED（発光ダイオード）が開発されたことにより、窒化物系化合物半導体は急速に注目を集めている。その後、白色LEDにも応用され、技術的にも産業として大きく進展を遂げた。白色LEDは低消費電力で長寿命という特徴を持っており、環境問題の1つであるCO_2削減からも液晶テレビのバックライトや新しい照明として脚光をあびつつある。政府が2008年、温暖化ガスの排出削減のため、消費電力が大きい白熱電球の生産中止を業界に要請したことを受け、各社2012年までに生産を打ち切る予定である。白熱電球がLED照明に切り替わると、消費電力は8～9割も少なぐて済み、その分CO_2の排出量が抑えられることになる。さらに2011～2012年頃にはLEDは主照明である蛍光灯を上回る効率となりLEDが照明の主役になるものと期待されている。しかし白熱電球に代るLED電球の価格は約4,000円前後とまだ手の出しにくい水準にあり、LED照明の普及には生産コストの大幅な削減が望まれている。日本バイオニクス㈱では、LEDや半導体レーザなど化合物半導体の製造において生産性の向上およびランニングコストの低減を追求した新しいGaN-MOCVD (Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置（写真1）を開発、2010年春販売を開始し新規参入を図る。以下に本装置の概要、特徴を紹介する。