光多値 QAM 信号に対するキャリア位相推定器と FEC 復号器間の繰り返し復号

摘要

光多値直交振幅変調（quadrature amplitude modulation：QAM）信号のビット誤り率 bit-error rate：BER 性能は、コヒーレント受信における位相雑音によって大きく劣化する。位相雑音を補償するため、受信器におけるデジタルキャリア位相推定方式が数多く提案されている。しかし、低信号対雑音比（SNR) 領域では、白色ガウシアン雑音の影響によって位相雑音を完全に補償することが困難であり、キャリア位相推定後に残留位相雑音による過剰連続エラーが生じる。この過剰連続エラーによって前方誤り訂正（forward error correction：FEC）後の BER 特性、いわゆる post-FEC BER 特性が劣化する。本研究では、キャリア位相推定後の過剰連続エラーを補償するため、光多値 QAM 信号に対するキャリア位相推定と FEC 復号器間の繰り返し復号を提案する。オーバーヘッド 20% の FEC によって符号化した 16QAM 信号に対して、トレリス型キャリア位相推定器と FEC 復号器間の繰り返し復号の性能をシミュレーションと実験で評価した。シミュレーション結果と実験結果ともに、繰り返し復号によって位相雑音および AWGN で劣化した 16QAM 信号の post-FEC BER 特性が改善されることが示された。