アルミニウム合金ダイカストの表面品位に及ぼす粉体離型剤の影響

摘要

粉体離型剤を用いて作製したダイカスト品の表面を観察することにより以下のことを明らかにした。 人間の見た目評価と製品表面の光沢度にはよい相関が得られた。 また，光沢度の測定ではわからない湯じわや湯模様も見た目評価には大きく影響を与えることがわかった。 粉体離型剤を用いることにより，表面粗さの減少，湯じわや湯模様の改善,またワックスの適量配合により光沢度の向上がなされ，従来の水溶性離型剤よりも，表面品位の優れた製品の製造が可能であった。 表面の形状は主に離塑剤中のワックスの割合により変化した。ワックス量を減少させると光沢の増加や湯じわや湯模様の改善および表面粗さが減少し，表面品位は向上した。 金型温度が高くなると，溶湯の湯流れ性が向上するため，湯じわや湯模様の減少とともに表面粗さもわずかに小さくなり，光沢度および表面品位は向上した。 本研究は平成10～12年度地域コンソ一シアム研究開発事業「粉体離型潤滑剤を用いた葉形材加工エコシステムの研究開発」の協力を得て遂行した。 試料作製および品位評価は，花野商事㈱広島アルミニウム工業㈱，光軽金属工業㈱,福山技研興業㈱，広島県西部工業技術センター，岡山県工業技術センターの方々に協力していただいたことを付記する。