車両過給機用可変ノズルタービンの詳細形状が流体性能に及ぼす影響

摘要

可変ノズル機構を有した可変容量型タービンは、エンジンの作動条件に合わせてノズルべーンを開閉し、エンジンに適正な過給圧を供給しつつエンジンの背圧を制御するエンジン出力の向上と低燃費化に欠かせないデバイスである。近年ディーゼル車のみならずガソリン車への可変ノズルタービンの適用が進hでいるが、航空エンジンやガスタービンと異なり、車両過給機は高価な耐熱材料や冷却機構を使用することなく、900°Cを超える排ガス温度下においても健全に稼働することが求められる。高温な熱変形状態でも滑らかにノズルベーンを稼働させるために、可変ノズルべーン端部にはある一定の隙間が設けられており、玉木、O'Neill、Walkingshawらおよび著者の過去の研究により、漏れ流れの発生によって損失が増加することが明らかになっている。また高温による熱変形を抑制するために、いくつかの構造部材が流路に露出していることに対し、Natkaniecらおよび著者の研究によつて一部の構造部材のタービン性能への影響が評価されているが、すべての構造部材の影響について定量的に評価した事例は報告されていない。本研究では、車両過給機用可変容量タービンにおける可変ノズル機構周辺の隙間や突起などすべての詳細形状を再現したCFD解析により、各形状がタービン流体性能に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。