隣接原子による求電子的活性化を鍵とする有機金属触媒反応の開発

摘要

金属原子の個性に強く依存して発展してきた有機金属化学は今日，金属原子の個性という制約と限界に逆に縛られるようになってきている。そこで，複数の金属原子や反応点の相互作用に基づく新しい触媒機能の発現に注目が集まっているが，相互作用を誘起するための煩雑な分子骨格構築が障壁となり開発例が少なく，設計指針に乏しいのが現状である。本研究で遠藤恆平氏は，反応点と隣接原子の相互作用による，反応点の求電子的活性化に着目し，これを分子設計に活用することで，有機金属化合物の古典的な反応性の枠を超えたユニークな性質を引き出すことに成功した。以下に同氏の主な業績を紹介する。