半導体製造技術に学ぶ再生医療本格化のための新規技術--細胞シート工学による組織三次元化技術

摘要

集積回路におけるトランジスタの集積密度は18～24カ月ごとに2倍になるという「ムーアの法則」と呼ばれる経験則が半導体業界にはあり，これがこの業界の発展を強力に推進した。 しかし，ムーアの法則それ自身には科学的根拠や合理的根拠はないといってよい。 インテルの共同創業者であるゴードン·ムーアが1965年に発表した雑誌論文の中で過去を振り返る形で言及し，さらにこれを外押して6万5,000以上の部品からなる集積回路が遅くとも1975年までには作られるであろうと予測している。 現実には，関係各社がこの経験則を実現するためにロードマップを作成し，これに従って資本投下を継続することによって，ムーアの法則の正しさが維持ざれてきた。 ムーアの法則で示される発展速度は1週間当たり1％以上と驚くべ淫ものであるものの，自分が手を抜けば，誰かに達成されてしまうとの強迫観念がムーアの法則の原動力となっている。しかし，このようなロードマップの作成と，これを遵守した資本投下は，当該分野の産業としての発展にはきわめて重要であった。 最近，サブプライム問題た端を発して世界不況をもたらした「デリバティブ」と呼ばれる金融商品でさえ，ノーベル経済学賞を受賞した経済理論を関係者が信じることによって金融業界の発展に大きく貢献したのである。 その是非はともかく，産業の発展にはこのような指導的な原理，関係各者がそれを一元的に信じ，遵守することで迷いのない発展を促すような何がしかの仕掛けが必要であるのだろう。