リビング重合による種々の刺激応答性ポリマーの分子設計

摘要

合成高分子を用いた高機能材料を構築するた裾こ、高分子の1次構造だけでなく高次構造を制御する試みが数多くなされてきた。 とくに、1980年代以降、さまざまな重合機構によるリビング重合が実現され、分子量、組成、末端茎が制御された種々の極性ポリマーの合成が可能となり、1次構造の制御による緻密な高次構造を発現させることに焦点が当てられるようになった。 天然もしくは生体高分子により構成ざれる精巧なシステムは、1次構造から高次構造の制御に加え、外部からの物理的もしくは化学的刺激に応答する性質"刺激応答性"を有している。 構造の制御されたポリマーが刺激により、規則性をもった組織体に瞬時に変化する現象は、自然界に数多く存在する。 一方、合成高分子においても、アクリルアミド系ポリマーなど、温度に応答して溶解性が変化するポリマーが古くから知られているが、1次構造の制御されたポリマーの刺激応答挙動、さらには規則的な組織体の構築に関する研究は、近年になりようやく報告ざれている。本稿では、筆者らの研究室の結果を中心に、リビング重合による刺激応答性ポリマーの合成および制御された高次構造の構築について概説する。