放射線のリスクをめぐる情報提供やコミュニケーションの現状と課題－福島県を中心として－

摘要

今回の震災および原発事故が地域社会にもたらした影響のうち，放射性物質をめぐる情報提供やコミュニケーションの問題は，国全体から基礎自治体に至る様々なレベルで大きな波紋を投げかけている．リスクコミュニケーションが日本において語られるようになってから10年近い歳月が流れるが，今回の放射性物質によるリスクをめぐる社会的な混乱を見る限り，この分野において取り組むべき実践的課題が依然として多いことに加え，これまで蓄積されてきた学問的知見に見直すべき点があることを痛感させられる．