苛性化軽カルの填料·顔料への利用

摘要

日本製紙では20数年前から，クラフトパルプ化の薬品回収工程である苛性化工程で副生する炭酸カルシウム（ライムマッド）を填科·塗工顔料として利用している。当社ではこの炭酸カルシウムを「苛性化軽カル」と呼hでおり，填料·塗工顔料として利用し，また，それによってキルンでの重油使用量削減につなげている。特に，近年の原油価格の高騰により，キルンでの重油使用量削減の経済効果はより顕著になっている。また，苛性化工程がクラフトパルプ生産のボトルネックとなっている工場ではパルプの増産が可能となることも，苛性化軽カル技術の大きなメリットの一つである。この他にも，植林木チップの使用増加に伴ってリン等のノンプロセスエレメントが薬品回収工程内に蓄積する問題にも，「苛性化軽カル」を使用することによって，ノンプロセスエレメントが工程内から抜き出されるため，この問題を回避することができる。上記のような多くのメリットがあるものの，開発段階では様々な困難があり，「苛性化軽カル」生産を安定的に行うために，長年にわたる研究·技術開発を継続し，現在に至っている。