マグネトロンスパッタドライプロセスによる可視光応答型二酸化チタン薄膜光触媒の作製

摘要

二酸化チタンは薄膜にすることで高い透明性を示し，高い光触媒能とともに，光照射により水の接触角がゼロになる光誘起超親水化現象を示す。 この光誘起超親水化機能を示す二酸化チタン薄膜は，現在最も注目されている光機能性材料の一つである。 二酸化チタンはその形態（粉末および薄膜状）に関係なく高い光触媒活性を示すが，3.2eVという比較的大きなバンドギャップを持つn型半導体であるため，励起光として約380nmより短波長の紫外光を照射する必要がある。 太陽光を光源として用いる場合，紫外領域の光は約3－5％程度しか含まれていないので光触媒としての効率には限度がある。太陽光の約50％を占める可視領域（400～800nm）の光を有効に利用できる新規な二酸化チタン光触媒が開発できれば，太陽光の利用効率が向上し地球規模での環境保全や潜在的なエネルギー危機の解決に向けて大きなブレークスルーとなることは言うまでない。