Au（111）表面上におけるシクロデキストリン末端基を持つチオール分子の吸着プロセス：立体障害を持つ分子を高秩序配列させるためには

摘要

金表面上におけるアルカンチオール分子の自己組織化単分子膜（Self－Assembled Monolayers：SAMs）は液中，大気中，真空中と様々な雰囲気下で分子が高秩序で安定した構造をとることから，分子センサー，分子デバイスのプロトタイプとして幅広く用いられているユ12）。SAMをセンシングデバイスに応用する場合，その定量性の向上のためには，表面に吸着させたセンシングを担う分子の吸着構造，密度，分子の配向が明確である必要がある。今までに分子を認識あるいは包接する性質を持つ，かさ高い分子構造の末端基を持つアルカンチオール分子を単結晶Au（111）基板表面上に吸着させ，走査型トンネル電子顕微鏡（Scanning Tunneling Microscopy：STM）で構造，配列が確認できるような構造を構築することは困難であった。今回我々のグループでは通常のアルカンチオールのSAMへの交換（置換）反応を用いてシクロデキストリン末端基を持つチオール分子を高秩序に配列させる手法を確立したので報告する。