急速に変化する世界のLNG情勢安定調達へわが国も仕切り直し必要

摘要

原油価格高騰によりLNG価格の優位性が俄然クローズアップされているが，一方で先日，サハリンLNGプロジェクトが総予井の見直しと出荷時期の変更を発表して関係者を驚かせた。 サハリンLNGプロジェクトはよく知られているように，わが国の三井物産や三菱商事も出資している「Ⅱ」と呼ばれている国際プロジェクト。 パイプラインによるわが国等への天然ガス輸出を目指す「Ⅰ」と競合して，いち早く東京電力や東京ガス，九州電力などとLNG契約を結び，2007年からの出荷を予定していた。 しかし，今回総予井が当初の100億ドルから200億ドル倍増する見通しであることや，出荷時期が2008年中頃に遅れる見通しであることを発表して，今後更に精査を行うとはしているものの大幅なプロジェクトの見直しは必至の情勢となっっている。こうしたしNGプロジェクトにおける計画の変更や失態は，しかしこれまで世界で全く例がなかったわけではない。 2003年のマレーシアでのLNGトレーンの火災事故や昨年1月のアルジェリアでの事故，また最近ではインドネシアLNGがアルンのプラント操業停止やLNG枯渇により契約量未達を続けている。 インドネシアは，オマーンからのスポット明達で何とか契約を全うしようとやっきになっているところだ。 これらは今のところLNG業界を大きく揺さぶる事態にはなっていないが，輸入国にとってLNGは電力や都市ガスといったライフラインに使用されるため安定調達は何より優先されなければならない重要なこと。 他にもLNGを巡っては大きな動きが出ており，安定明達の観点からみると世界のLNG地図は急速に変化しつつあるといっていい情勢だ。