DME技術がカリブ海と日本で活きるぞ！

摘要

4月9日，三菱ガス化学と三菱商事が連名でプレスリリースを発表した。タイトルは「トリニダード·トバゴにてメタノール／ジメチルエーテルの製造事業F／Sに合意」というもの。記者はこれまでもDMEに関しては何度か本誌で取り上げてきた。資源エネルギー庁で北畑新エネ·石炭部長·吉村石炭課長（いずれも当時）を中心に「DME戦略研究会」が設置され検討を開始。報告書をとりまとめたのが平成12年9月だったから，もう13年も前のことだ。このDMEの性状がLPガスに酷似していることに着目，エネ庁流通課液化石油ガス産業室の滝本徹室長（当時）がエルピーガス振興センター主催の「DME検討会」を立ち上げたのがこの直後。LPガスはサウジが決めるCP（コントラクト·プライス）の高値設定に苦しめられ，都市ガスにシェアを奪われ，後にはオール電化に痛い目にあわされるのだが，この高値CP形成にDMEが少なからず影響を与えられるのではないか，との期待があった。この時に流通課·振興センター主催で並行的に行われていたのが「LPガス供給問題研究会」。記者もこの研究会に委員として参加したが，当時は中国のLPガス輸入量が年間80～100万トンも増加する一方で，サウジアラビアはLPガス原料の石油化学プラントを相次いで立ち上げつつある時。サウジアラムコからは「LPガスの輸出量は大幅に減少していく」などと宣告されていた時代。「CPはますます高騰する。需要は減退する。どうするhだ！」という状況下，DMEの多様な資源からの生産可能性，その用途の広がりなど，LPガス業界は大いに注目した。とりわけ，プロパンと混合して家庭業務用で消費できるのではないか，LPガスのインフラがその酷似する性状のゆえに利用できるのではないか，という点に関心が集まった。岩谷産業の横浜液化ガスターミナルの実証プラントには何度も取材にいったものだ。その後，DMEの需要開発対象は産業用燃料や軽油代替燃料に相対的重点が移ったほか，バイオDMEへと関心が変化していったようだ。記者の取材対象も「DMEトラック」やその燃料としてのバイオDMEへと移行。「長浜市の地産地消のバイオDMEプロジェクト」などを取り上げるようになった。しかし，世間一般の関心がDMEからは次第に後退していった事実ば否めない。天然ガスが各地で生産されるようになったほか，米国でのシエールガスの大増産。天然ガス価格は米国では11ドル．／百万Btuから昨年4月には1.9ドルにまで下落した。発電燃料として石炭と伍するほどになった。IEAは「天然ガス黄金時代到来」と謳い「在来型·非在来型を合わせると250年分が賦存する」と宣言した。日本でもDMEフォーラムなどに結集していた企業が次々と撤退。潮が引くような状態となってしまっていた。