原油続騰，LNG，石炭も反発し10社とも5月分に対して値上げに

摘要

1～3月の輸入燃料価格から計算した電力各社の平均燃料価格は，10社とも前12～2月価格を上回った。今回は原油の続騰に加えLNG，石炭も反発したことから，前期まで基準値を下回っていた北海道も基準値を超えた。そのため，燃料費調整用の単価は10社とも「値上げ調整」となり，その単価と太陽光付加金を合わせた金額が，前回の料金改定時からの値上がり幅になる。また，調整単価の拡大によって，前5月検針料金に対しても値上げになる。燃料の輸入価格は原油が前期に対して3.7％上がったほか，LNGと石炭もそれぞれ1.8％上がった。各社の平均燃料価格は前期より600円（中国，九州）～1,100円（東京）／kl高くなった。率にして1.9％（中部）～3.1％（沖縄）の上昇になる。6月の調整単価は特別高圧用で5月より7銭（九州）～22銭（沖縄）／kWh拡大して10銭（北海道）～137銭（中部）となった。燃調達用後の料金単価は5月との比較で0.8％（九州）～1.8％（沖縄）の値上がり，改定時との比較では1.3％（北海道）～15.9％（中部）～29.9％（4月一律値上げの東京）の値上がりになる。また，標準家庭の値上がり月額は27円（四国，九州）～72円（沖縄）で，基本料金も含めた支払い金額の値上がり率は0.4％～0.9％。改定時に対しては35円（北海道）～474円（中部）の値上がりになる。次の7月検針料金でも値上がりする。4月分の為替換算レートが一段と円安方向へ是正されるほか，原油にはドル建て価格の続騰が待っているためだ。LNGと石炭もドル建て価格の値上がりを見込まなくても，円安によって続騰する。2～4月の平均燃料価格は10社とも700円～1,500円の続騰が予想される。特別高圧の調整単価は6月より10銭～27銭ほど拡大する。また，北海道を除いて割高な夏季料金が適用されるため，6月に対しては8～11％の値上がりが予想される。