ガソリン市況「減販軟化」に歯止めを

摘要

8月末から9月にかけて，米国南部を襲った2つの大型ハリケーン「カトリーナ」と「リタ」は，メキシコ湾岸の石油生産施設や製油所にも大きな爪跡を残した。 製油所の操業停止は合計12に及び，そのうちいくつかは復旧に時間がかかる見込み。 元々，不足していた米国の精製能力はハリケーン被害で一段と損傷され，先々，暖房油などの需給に影響する可能性も出てきた。 WTIは月初の70ドル／バーレル水準から徐々に下げたが，ハリケーンの動きとともに思惑売り·買いが錯綜。 27日現在は65ドル近辺に高止まりし，9月の月間平均でも前月を50セント程度上回り史上最高レベルを維持している。 「ハリケーン要因がなくなれば年末には60ドルまで下げる」（渡石油連盟会長）との見方もあるが，米国の製油所トラブルは冬場需要期の不安定要因となりそうだ。WTIに連動し，ドバイ，オマーンも56～58ドル台の高値圏に定着。元売各社は10月仕切改定で1円／l前後ながら4カ月連続の値上げを打ち出した。 末端では7月以降コストアップ転嫁が進行中だが，転嫁の遅れや取残しに加え，SS店頭ではガソリンの高価格化による減販で，反動的な値下げも目立ち始めた。 また，産燃油市場では，石油離れやユーザー企業の経営難など，深刻な問題も派生するに至っている。 石油ディーラー自身，いくら上げてもコストアップに追いつかない状態で，収益事情はことのほか厳しい。 10月仕切上げは正味1円程度だが，未達分を含めそれ以上に値上げしたい，という切迫した声も聞かれる。 ガソリン市況の建て直しと中間留分の値取り改善が急務の石油業界。 10月はその成否がかかった大事な月になりそうだ。