生産性の高い植林事業を目指したバイオ技術の開発--10年で育つ木を7年で育て上げる

摘要

以上述べてきたように，日本の製紙会社は原料である木材チップの多くを海外植林地で調達しているため，バイオ技術を応用した生産性の高い植林事業を目指している。最近は，地球温暖化対策や石油代替のバイオマスエネルギー生産の原料としても，森林資源は注目を浴びている。本稿では触れなかったが，遺伝子組換え技術は直接的に有用形質を付与できるため,育種期間を短縮できる極めて有効を手段である。当社でも環境ストレス耐性を付与した遺伝子組換えユーカリを開発に取組hでいるが，環境への影響など克服すべき多くの課題がある。今後，ユーカリはゲノム情報の公開とともに，育種が加速化されるであろう。精英樹の育種と苗の大量増殖技術の発展が植林地の高い生産性に繋がり，森林資源の効率的な確保のみならず，炭酸ガスの固定化を通して環境保全にも貢献できると考えている。