単一発光材料を用いる白色有機EL素子への新しい取組み

摘要

照明用有機EL素子の白色化には，赤（R），緑（G），青（B）のいずれかを発光するゲスト分子3種類を同一のホストにドープしRGB光を一つの発光層から出す単一発光層方式，RGB各々の発光層を積層するタンデム方式，の2つの方式が採用されている。いずれの場合も，ホスト分子からのエネルギー伝達による低濃度のゲスト（ドーバント）分子からの発光に基づいている。上記の方式では，異種のゲスト分子の間でのエネルギー伝達による色変化，ゲスト分子集団とホスト分子集団との相分離による劣化，RGB発光層の間での劣化速度の違いによる色変化，などが生じ，白色性を持続できる寿命が短くなる欠点がある。照明パネルを構成する有機EL素子すべてのピクセルにおいて，3種類のゲスト分子について特定のドーバント濃度を画一的に分布させることは技術的に困難である。不均一濃度分布は欠陥商品につながる。