核生成の定量評価は不可能か

摘要

核生成は、ガス状の分子あるいは原子が過飽和場を形成した結果、分子や原子がバラバラの状態では存在できなくなり、互いに凝縮合体して粒子を形成する現象であり、私たちの身の回りの様々な場面で見ることができる。最近話題のナノ粒子は分子からクラス夕ーそしてナノ粒子への成長を制御することで合成される。かつて、空気清浄の分野で大きな問題となった半導体製造現場でウェーハの除電に使われていたコロナイオン発生器からのシリカ粒子の発生も核生成によるものである。また、大気環境中では、自然や人類の活動で放出された二酸化硫黄が光反応により低蒸気圧物質である硫酸分子を合成し、硫酸分子が過飽和を形成しナノメータオーダーのナノ粒子を発生する。このナノ粒子は水蒸気を集めて雲の元となるサプミクロンオーダーの雲凝縮核に成長する。このようにして発生した要は太陽光を遮る一方で、地面から放出される赤外線を吸収するため、雲の発生は地球温暖化に重要かつ複雉な影響を与えている。このように核生成は、私たちの現在の生活だけでなく、人類の未来とも密接に結びついている。