コバルト錯体の特徴的なルイス酸機能を活用する触媒的不斉合成反応の開発

摘要

コバルト錯体が特徴的なルイス酸触媒であることを明らかにした。カチオン性コバルト（III）錯体では，対アニオンによって反応性のほか立体選択性も向上する。 また，強い電子供与性化合物の共存条件でもルイス酸触媒として機能する特徴を活かし，α，β-アルケナール類とニトロンとの触媒的不斉1，3-双極子環化付加反応の制御に成功した。コノミルト（III)錯体の特徴的なルイス酸触媒機能は，ヘテロDiels-Alder反応をモデルとする理論解析によって，基質の配位によるスピン状態の変化がもたらす効果であることが示された。