Pincer型ビスオキサゾリニルフェニル(Phebox)を不斉配位子とする光学活性置移金属ルイス酸錯体の合成と不斉反応への応用

摘要

ほじめにルイス酸鈷体は，炭素一炭素結合生成反応のみならずヘテロ原子を含む様々な求核剤による官能基化反応をも促進することから，有機合成反応の中核をなす触媒の1つに挙げられる。触媒的不斉合成反応への展開を見てみると，80年代後半から典型金属や前周期遷移金属といった，いわゆる「ルイス酸性」の商い中心金属を用いた不斉ルイス酸紺体が数多く報告されている1）。 その私NMRやⅩ線解析といった分析機舘の発尿とも相まって，紺体化学的検証も含めてより洗練された甜体触媒へと進歩を遂げてきた。 さらに90年代後半になって，これまであまり用いられてこなかった後周期遷移金属を基盤としたカナオン性相伴が数多く報告されるようになった封。後周期遷移金属錯体をルイス酸触媒として用いる利点としては，典型金属や前周期遷移金属錆体よりも空気中で安定に取り扱うことができ，しかも配位環境を調整することで，容易に単山錯体位を創製することが可能となる点であろう。