ダイヤモンドコーティング高密度集積技術のフロテオミクス解析への応用—タンパクチップ，トランスクリプションチップ，DNAチップ—

摘要

ヒトの全遺伝子解析が終了した現在，遺伝子の機能を担うタンパク質を網羅的に解析（プロテオミクス研究）する研究が世界規模で始まり，そのための技術開発が注目されている．この研究ではできるだけ多数の検体を一度に解析することで，これまでに見ることのできなかったタンパク質間のつをがりや関連タンパク質の同定により，これまで明らかにされていなかった細胞内でのタンパク質機能（遺伝子機能）を明らかにしようとする研究である．具体的にはさまざまな因子が複雑に絡hでいるために，これまで病気の原因，治療，予防のための標的タンパク質の同定が困難であったが，これがプロテオミクス研究によって明らかになると期待されている．このような網羅的タンパク質機能解析（プロテオミクス解析）を目的として，ダイヤモンドコーティング高密度集積タンパクチップ，トランスクリプションチップの技術開発研究が行われている．ダイヤモンドを被覆する素材には目的に応じてシリコンやガラス坂，ステンレス板，ステンレスビーズが選択され，図1に示すように高密度にDNAとタンパク質を基板に集積したチップ（DNAチップ，タンパクチップ，トランスクリプションチップ）が作成され，さまざまな応用開発研究が行われるに至った．ダイヤモンドチップ表面へのカルボキシル基の導入は図2に示す行程によって行われ，結合するタンパク質とDNAの大きさによって導入する炭素鎖の長さを変えて使用する．一般に固定化する分子の分子量が大きくなるに伴ってチップに導入する炭素鎖を長くして，チップ上に固定化した分子が分子間相互作用によって捕捉するタンパク質やDNAの結合効率を良くする．