生物に学ぶ撥水性と吸着性－バイオミメテイクス研究の紹介

摘要

38億年前に誕生した生物は、生物間の相互作用や地球環境の変動によって、多様な機能を発現したり喪失したりすることで進化してきた。特に、我々人類を含めた生物にとって“水”は生きるために必要不可欠な物質であり、水を効率良く且つ永続的に獲得する為に、驚くべきシステムやプロセスを産み出している。例えば、象はその長い鼻に水を貯めて口に運hでいる。犬は、舌を内側に凹めてお椀状にして水を汲hでいる。猫や虎は、舌を水に浸す運動を繰り返して形成される水柱の慣性力を利用して水を飲hでいる。水鳥は、その長いクチバシの開閉運動により毛管力を変化させて水を口まで運hでいる。人もコップなどに水を汲み、手の運動により口に運hでいる。このように多くの生物は、主に能動的なエネルギーを使って水を飲hでいる（図1）。