多素子MIMOにおけるピークリミタを用いるPAPR低減の効果(2)

摘要

多素子 MIMO-OFDM (Multi-input multi-output-orthogonal frequency division multiplexing)システムで は，送信信号のピーク電力対平均電力比（PAPR: Peak-to-average power ratio)の低減が重要な課題となる．従来のPAPR低減手法の一種として，C&Fに代表されるリミタ方式が知られている．しかしながら，C&Fを用いる場合，振幅制限により生じる帯域内歪み（EVM: Error vector magnitude)が特に高次の多値変調を各サブキャリアで用いる場合にビット誤り率（BER: Bit error rate)を大きく劣化させる．著者等は多素子MIM0の余剰の自由度を活用することでC&Fにおける帯域内歪みを補償する手法について検討した．本稿では，C&Fと同等の特性を低演算量で達成可能なPAPR抑圧手法として適応ピークキャンセラ方式に着目し，多素子MIMO-OFDMシステムに適応ピークキャンセラと帯域内歪み補償を併用する場合の達成可能なPAPRおよびBER特性を計算機シミュレーションにより評価する．検討方式を用いることで，64QAMや256QAM等の高次の多値変調を用いる場合においてもBER特性の劣化を抑えながらQPSK変調時と同等程度のPAPR低減を達成できることを示す．