［依頼講演］TSNの実現に向けたタイムアウェアシェイパーのソフトウェア実装

摘要

本発表では，指定時刻送信機能を用いてタイム·センシティブ·ネットワーキング向けのトラヒックシェーピングを行う手法を紹介する．ホスト上で動作するランタイム·スケジューラとネットワークインタフェースカード（NIC）の指定時刻送信機能を連携させることで，IEEE 802.1Qbv規格に基づいた送信制御（タイムアウェアシェーピング）を実現する．本提案手法では，ランタイム·スケジューラがスケジューリング情報（ゲート制御リスト）からゲート制御エントリを適切なタイミングでプリフェッチし，各イーサネットフレームの送信開始時時刻を算出する．NIC側では，細粒度に送信タイミングを制御できる指定時刻送信機能を用いて，算出された送信開始時刻に基づき各フレームを送信する．提案手法を実装して，高帯域のベストェフォート型トラヒックと複数の高優先度トラヒックを混在させた環境で評価を行った結果，リアルタイム性が求められる高優先フレームを，予め与えられたスケジューリング情報によって指定されたタイミングで送信できることを確認した．また，NICの指定時刻送信機能を無効化した場合と比較して，高優先度トラヒックのフレーム送信間隔のジッタ，及び，伝送遅延のジッタが大幅に改善（それぞれ0.1マイクロ秒未満）されることを確認した．