ファインセラミックス加工のこれまでと今後の展望：ファインセラミックスの超精密ポリシング

摘要

1980年代に注目を集めた新素材ブーム，ファインセラミックスブームから約20年が経過し，その間の技術進歩によりファインセラミックスは優れた材料特性を生かして自らの存在位置を確立することができた．それは，はさみ，包丁のような家庭で使用される日用品からスペースシャトルの耐熱タイル，さらには半導体露光装置に使用されている超精密部品にいたるまできわめて広い範囲に展開されている．これはファインセラミックスの材料開発に努める材料技術者，応用面で成果を挙げた機械技術者らの絶えることのない努力の結果であり，新しい時代を開いた大いなる進歩と評価することができる．その一方で，いまだにファインセラミックスの応用に関して技術，コストの面における壁が存在するともいわれている．一般に，ファインセラミックス部品を使用したいと考えるとき，まずコスト高が問題となりその要因は加工コストにあるといわれている．これは，ファインセラミックスの優れた材料特性が，逆に加工コスト低下を妨げているわけであり，大きなジレンマである．この問題を解決し，ファインセラミックスのさらなる応用展開を図るには，材料の高度化とともに低コスト加工技術，新しい加工原理に基づく加工技術の開発が欠かせない．本稿では，このような観点から，ファインセラミックスのポリシング加工について考えてみる．