発達障害のある児童·生徒を対象としたアクティブノイズコントロール（ANC）技術の適応事例

摘要

知的な遅れがないにもかかわらず，対人コミュニケーションや読み書き計算といった学習，行動の制御に特異的で著しい困難さを抱える子どもたちは発達障害と呼ばれる。文部科学省が実施した調査によれば，通常学級に在籍する小中学生の8.7%の児童が発達障害を有すると推計されている。こうした発達障害のある子どもたちの中には，学校教育に不適応を起こし，不登校となったために学習空自がある子どもも少なくない。石井·上野（2008）は，通級指導教室に通う発達障害のある小·中学生の多くが不登校になっている現状を報告している。このような学習空自の背景に，音環境が影響している事例に時折出会うことがある。