原子力と社会 第Ⅵ部原子力のあり方に対する提言

摘要

現在，世界の人口は63億人に到達しようとし，2050年には89億人に達して増加速度が鈍るであろうと推定されている。 これまでの50年で38億人増え，次の50年で26億人増えようとしている。 この50年の急激な人口増加をかろうじて支えてきた地球の自然環境も，近年になって限界に近付いていることを知らせる兆候が，数多く出てきていることは周知のとおりである。 多くの生命が共存繁栄していくために必要な地球環境の維持が，人類の食糧確保と文明の享受と発展のために必要なエネルギーの確保によって脅かされている。 人類がこれまでどおりの方法で食料調達とエネルギー生産を続けていくと，今後50年を待たずに地球の自然環境が悲鳴を上げることは，誰の目にも明らかであろう。