「ものづくり」におけるメソ·シミュレーション

摘要

プロダクト·イノベーションは，マテリアル·イノベーションとプロセス·イノベーションの掛け算である.マテリアル·イノベーションは大学の役割で今り，プロセス·イノベーションは企業が担っている.プロダクトは微粒子合成から始まり，濾過，粉砕，分散，混練，成型，塗布，乾燥など多くのプロセスから製造されているため，品質に与える影響をプロセス毎に切り分けるのは難しい.しかも，これらのマテリアル·プロセスは，コロイド，微粒子，ゲルなどを扱うため，技術体系は十分ではない.コロイドはサブミクロン粒子であり，微粒子は1ミクロン以上の粒子である.また，ゲルはコロイドや微粒子のネットワーク構造を形成している.コロイド系は熱力学的な凝集が支配的であるため，物理化学的に体系化されている.一方，微粒子系は物理的な凝着力による凝集が支配的なため，流体力学的な体系化が進hでいる.この1ミクロン前後の領域はメソ領域と呼ばれ，熱力学な非平衡相変化と流体力学的な非平衡相変化が交差して非線形性も強いため，メソ領域の体系化を難しくしている.研究開発や製造現場では，品質に関わる多くの問題が起きている.品質は材料のメソ構造に依存し，マテリアルとプロセスの影響を受ける.よって，メソ領域の構造形成を明らかにすることが，数値シミュレーションに期待されている.