教育に関する著作権法改正案の考察と予測される課題～第三十五条改正案－授業利用目的の著作物の公衆送信に関わる補償金制度を中心に

摘要

2018（平成30）年1月22日、文部科学省は「第196回国会における文部科学省提出法律案」として「著作権法の一部を改正する法律案」を公表した。この著作権法改正案では、「②教育の情報化に対応した権利制限規定等の整備（第35条等関係）」として、学校等で教育を担当する者等が授業利用目的でネットワークを通じて著作物の公衆送信を行う場合に、著作者·著作権者への逐次の許諾を不要とし、指定管理団体（著作権者）に対して教育機関の設置者（利用者）が係る補償金を支払うことを規定している。本稿は、この著作権改正案について、第三十五条等を中心に考察し、改正法律案の施行やその準備にあたって、著作者·著作権者、利用者（とくに初中等教育）双方に予測される課題や、法改正による初中等教育への影響について検討する。