小中学校の教室授業のリアルタイム·ビデオ中継に関する倫理的諸問題の考察

摘要

本稿は、小中学校授業のビデオ映像／音声のネットによるリアルタイム中継に関する倫理的課題を明らかにし、その解決のための道筋を探る。教室授業のビデオ撮影／記録とその情報共有は、ビデオに写り込む可能性がある著作物の著作権や教室内個人情報やプライバシー情報の保護に加え、未成年である学習者および保護者の撮影同意をどうすればよいかなど、学校教育特有の配慮すべき様々な点がある。すでに我々は教室授業のビデオ撮影／記録一般に関する倫理的諸問題について考察を行ってきたが［IEICE-ISEC2013-16］、今回は特にリアルタイム中継について考察を行う。リアルタイムで映像／音声を中継／視聴する場合は、アーカイブ化して後日発信／閲覧させる場合とは、情報の共有の範囲や情報コントロールの困難さが異なるため、配慮すべきレベルに大きな差があると考えられる。そこで、リアルタイム中継の特徴や教室授業の実例等を検討し、倫理的諸問題を考察した。