加工食品のトレーサビリティシステムへの取り組み

摘要

わが国の食品のトレーサビリティへの取り組みは，2000年代初頭のコーデックス委員会におけるトレーサビリティについての議論やヨーロッパのBSEに端を発したトレーサビリティ制度の導入，そして，わが国内における同時期のさまざまな食品事故による消費者の信頼失墜の回復の必要性などをきっかけとして，農林水産省が平成13年度から開始した「安全·安心情報提供高度化専業」の一環「食品履歴情報遡及システム開発·普及事業」や当時報道等に取り上げられた石井食品㈱のホームページによる原材料情報開示システムなどが端緒であろう。 農林水産省の事業の開始直後の平成13年9月に，わが国最初のBSE牛が発見され，当時の武部農林水産大臣の号令で，わが国のすべての「牛」のトレーサビリティが義務制度として導入され，トレーサビリティに関する関心が一段と高まった。 平成15年3月には「食品トレーサビリティシステム導入の手引き」が策定された。食品のトレーサビリティシステムの開発·実証試験事業はさらに平成16年度まで続き，平成17年度には「ユビキタス食の安全·安心システム開発事業」と姿を変え，現在も継続中である。 （財）食品産業センターは，平成13年度から，平成16年度を除く4年間，トレーサビリティのシステム開発·実証試験を行ってきており，その成果，課題などを本稿に述べる。